ユキさんの妄想シチュエーション

 
"妄想シチュエーション"とは、恋に憧れる仮想マネージャーのユキさんが推しメンとの理想のシチュエーションに溺れるコーナーです。


長谷 大地 の場合

 

 
「ゆき!早く!!」
 
顔を上げると、彼が満面の笑みで振り返ってこっちを見ている(愛しい人にしか向けない視線)。
 
先にずんずん進んでいってしまう彼にむっとしていたが、完敗。その笑顔に乾杯。
 
 

振り返ってみると、入部して初めて会った時から、わたしは太陽みたいな彼の笑顔に心を焦がしたのだと思う。
 
気づいたら目で追っていた。
 
だけど、それを自覚した時、「選手とマネージャー」この関係を壊す勇気は持てなかった。
 
日々成長する想いを、きらきら眩しい彼の背中を見つめ、じりじりと焼き付けることしかできないわたし。

想いは成長しすぎて痛みすら感じ始めた頃、練習終わり図らずも彼と二人で帰ることになった。
 
止まらない胸のドキドキ、そんなわたしを知ってか知らずか、彼は彼女が欲しい…とぼやく。
 
口を開いたら「好き」といってしまいそうで、不自然な沈黙を作ってしまう。
 
 

「おい、黙るなよ!笑」

笑いかけてくる彼。
今度は不自然にならないようにわたしも彼氏欲しいとふざけてみる。

「…じゃあ俺ら付き合うしかないな。」

おちゃらけた口調。

冗談でそんなこといってほしくないのに…気持ちを表情に出さぬよう彼の顔を見上げる。
 
 
え…。
 
おちゃらけていると思っていた彼の顔は、思いがけず真っ赤で…
 
それが夕日のせいなのか、はたまた別の理由なのか定かではなかったけれど、その日2人の関係は、今までとは違う甘いものへと変化したのは確かだった。
 

それが去年の夏、もうすぐ1年。あの日の記憶は大事に綺麗に、いつでも手に取れる場所に保管している。
 
 

「何ぼーっとしてるん。」

目の前に呆れた顔の彼。それでも笑いながらわたしのところまで戻ってきてくれる彼に愛。
 

「ん。」

少し汗ばんだ彼は、当たり前のように手を差し出す。
 
あぁ、この人はどこまで深くわたしを恋に落とせば気がすむのか…。
 
 
大好きな人の隣で過ごす最高の夏、胸がいっぱいで、わたしは彼の手を強くぎゅっと握りしめた。
 
 


岡村 拓海 の場合 
 

 
"圧倒的男前"
 
 
彼を語るにはこれに尽きる。
 
彼が瞬けば、女達は色めき立ち

彼が微笑めば、失神者が続出する。
 
今までどれだけの人が、彼という底なし魅力沼に落ちてきたかは計り知れない。
 
 

わたしもそのうちの一人。
 
部活の後輩である彼が、入部してきた時の衝撃は今も忘れない。
 
男前すぎて息をするのを忘れた。
 
同時に、今後数年間、彼の成長(プレー面、ビジュアル面共に)を見守ることが神様がわたしに課した使命だと悟った。
 
 

春、ひどい花粉症だという彼が少しでも楽になるようにと、1呼吸あたり5吸1吐のペースで積極的に花粉を吸い、
 
夏、海に出かけると聞いたもんなら、変な女にナンパされないよう、彼が行くと言っていた海で監視員のバイトをはじめ、
 
秋、読書の秋ときたら、彼の好きそうな漫画を片っ端から買い漁って、すぐにでも貸し出せる環境を作り
 
冬、いつでもカイロを差し出せるよう貼るタイプと貼らないタイプそれぞれ5枚を持ち歩き、また練習終わり少しでも寒さが和らぐよう、彼の靴だけ温めておいた。
 
 

1年間誰よりも彼を見守ってきた自信がある。
誰よりも愛は深い。
 
だけどそれは、ひけらかさない。
あくまでさりげなく。
 
陰ながら応援するだけで十分なのだ。
 

今日もマネージャーとして彼を見守っている…。
 

!!
 

後方斜め左、彼の足音を確認。

この足音は給水しに来たものと思われるので、彼用の少し濃いめのポカリが入ったボトルを持って振り返る。
 

「ありがとうございます!」

笑顔でボトルを受け取る彼。こういうところ。

笑顔で目を見てきちんとありがとうが言える、神様仏様彼のご両親様、彼の誕生に大感謝。
 
練習中にも関わらず涙が出そうになる。
涙が溢れる前に慌てて、頑張ってるねと大人の女性らしく余裕のある声かけ。
 

「頑張ってるんで、あとでアイス奢ってくださいよ〜!笑」
 
MajiでKyun死ぬ5秒前。
 
無邪気な笑顔が罪。

突然の無邪気は心臓に悪いので、むしろ逆に邪気があるのではと思ってしまう。
 
アイス、毎日奢る、朝昼晩奢る。
 

後輩としての可愛らしさも持ち合わせているのかと感心しながら、ポカリを飲み終え練習に戻る彼に視線を向ける。
 
この姿が見られるのはマネージャーの特権。
 
今後、より魅力的になることが間違いなく、"圧倒的男前"から、"彼"と書いて"男前"と広辞苑に記載される日も遠くないであろう。
 
これからも彼へのサポートは全身全霊、より一層心を込めてする他ない。
 

彼の成長を間近で見守ることができる幸せを噛み締めながら
わたしはこの夏、アイス屋さんでアルバイトすることを強く決意した。
 
 
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